茂木誠先生インタビュー|神社巡りを楽しむ5つの秘訣とは?

予備校講師・作家:茂木誠先生インタビュー

茂木誠氏(撮影:和の国チャンネル高谷賢治)
茂木誠先生(撮影:和の国チャンネル高谷賢治)

書籍の著者の方に「寺社の魅力」や「巡り方」などをお聞きするこのコーナー。
今回は歴史関連の書籍を多数書かれている、茂木誠先生にインタビューさせて頂きました。

茂木誠先生は、YouTubeチャンネル「もぎせかチャンネル」(登録者数15万人超)にて、全国の神社を巡る様子を発信。最近の趣味は「神社巡り」とのこと!

そんな神社好きの茂木誠先生に、歴史的な観点から見た神社の魅力や茂木先生流の神社巡りの楽しみ方についてお聞きしました。
神社・歴史好きの方は必見です。

茂木誠先生 茂木誠
駿台予備校世界史講師。作家。「もぎせかチャンネル」人気YouTuber。
著書に『世界史とつなげて学べ超日本史』(KADOKAWA)、『日本とユダヤの古代史&世界史』(共著/ワニブックス)、『「日本人とは何か」がわかる 日本思想史マトリックス』(PHP)、『ジオ・ヒストリア』(笠間書院)ほか多数。
もぎせか資料館
もぎせかチャンネル

神社巡りの魅力について

ピンク
茂木先生は全国の神社を巡られていますね。
“神社の魅力”を一つ挙げるとしたら何でしょうか?
茂木先生
「祖先の記憶」ですね。
神社には私達の祖先が残してくれた「精神」が受け継がれています。
神社を訪れると、この国を作ってくれた祖先に対して「ありがとう」という感謝の気持ちが生まれると思いますよ。
ピンク
神社に何かをお願いするだけでなく「感謝の気持ち」を持って参拝する人が増えたら素敵です。
茂木先生
今の日本人は一度しかない人生の中で、学歴や稼ぎなどで競争していますよね。これってすごい虚しい人生だと思うんですよね。

神社へ参拝して自分の欲望を満たすために「~を叶えてください」とお賽銭を投げるのではなく、ただ感謝をする。
そういった気持を持てるようになると、生きるのがとても楽になると思うんです。

ピンク
そのようなお考えは、以前からお持ちだったのですか?
茂木先生
いや、神社を巡るようになってからなんです。
祖先が残してくれた「精神」を感じることができ、参拝すると「感謝の気持ち」が自然と生まれる。
これが神社の魅力だと思います。

神社巡りにハマったきっかけ

ピンク
茂木先生が、神社巡りに”ハマったきっかけ”を教えて頂けますか?
茂木先生
もともと古代史を勉強していたのですが、参考資料となる『古事記』『日本書紀』などは、どこまでが神話で、どこからが歴史なのかが分からないんですよ。
だから、大学の歴史学でも古事記や日本書紀は扱いません。

ただ、僕は神話の全てが「迷信」なのではなく、本当に起こったことが神話化されている部分もあると思っています。
例えば旧約聖書には『ノアの洪水』の話がありますが、洪水で文明が滅ぶ話は世界中にあるんですよ。ギリシャ神話や中国の神話とか。

ピンク
世界中で洪水が起こっていたのですか?
茂木先生
氷河期が終わったことで北極や南極の氷が溶け、水面が上がったという事です。
だから、東シナ海、メキシコ湾などの浅い海はもともとは陸だったんですよ。こういった事が世界規模で起こっていた。
でも、当時は文字が無いので「神話」という形で物語化されていったのだと思います。
ピンク
なるほど。実際に起ったことが神話になった・・。
その前提で『古事記』『日本書紀』を研究されてみて、気付いた点はありますか?
茂木先生
やはり矛盾がたくさんあるんですよ。
「この人とこの人が兄弟は有りえないだろ」とか、全く記録が無い天皇がいらっしゃったりとか。恐らく朝廷に都合の悪い部分は歴史から消されてしまったんです。
それに気付いてからは「消された歴史」にすごく興味を持ってしまいましてね。
ピンク
「消された歴史」の痕跡は、どこに残っているのでしょうか?
茂木先生
主に2つあります。一つは天皇家ではない豪族が伝えてきた歴史です。
例えば物部氏の伝承を伝えた先代旧事本紀せんだいくじほんぎ、出雲大社の宮司さんが伝えた『出雲口伝』、その他にも『ホツマツタヱ』などがあります。
そういった豪族が伝えてきた歴史には、驚くべき内容が書かれていますよ。
ピンク
驚くべき内容・・気になります!!
茂木先生
もう一つが「神社の言い伝え」なんですよ。
どんな小さな神社でも由緒書きの看板がありますよね?これが面白いんですよ。
「そんな馬鹿な!」という話がさりげなく書いてありますから。
これらを読んでいくと、古事記・日本書紀から消された歴史と辻褄が合うことがわかりますよ。
ピンク
さりげなく読んでいた神社の由緒書きに、茂木先生でも驚くような事が書かれていたとは・・!
神社には「消された歴史の謎が眠っている」という視点で参拝すれば、神社巡りがより楽しめそうです!
茂木先生
やはり、現地に行かなきゃわからない部分があるんですよ。それで神社を巡るようになりました。

もぎせかチャンネル
茂木誠先生のYouTube「もぎせかチャンネル」では、全国の神社巡りの様子や、教科書では詳しく書かれることのない「歴史の秘密」が明かされています。

茂木誠先生流 神社巡りの楽しみ方について

古事記を読んで神様を知る

古事記に登場する『八岐の大蛇』提供:Daisuke Mochida
ピンク
当メディアの読者には、御朱印をきっかけに「神社をもっと知りたい!」と思った“神社初心者”の方も読んでくれています。
そんな方に、茂木先生がおすすめしたい”最初の一歩”は何ですか?
茂木先生
まずは「古事記」を読んでみることですね。
最近は漫画版もあるし、子供向けのもありますから。ざっくりでも良いので古事記に書かれている神話を理解すると、神社巡りは面白いですよ。

そして、古事記を読んでみると”気になる神様”がいると思います。夫婦・親子の神様などもいますしね。
そしたら、その神様がまつられている神社を調べてみると良いと思います。

ピンク
自分が”気になる神様”がいる神社なら、参拝も楽しみになりますね!

【茂木誠先生流】神社巡りの楽しみ方

  1. 古事記を読む
  2. 気になった神様を調べる

Googleマップを活用する

ピンク
茂木先生が神社を巡る際に活用されている”ツール”などはありますか?
茂木先生
僕がよく使うのはGoogle Mapですね。
行ってみたい神社にマークを付けられますよね。旅先で「この辺りに面白い神社あったかな?」と思った時に、Google Mapを開けばパッと出てくるのが便利ですね。
Google Map(グーグルマップ)は、Googleが提供する地図サービス。地域情報、目的地までのナビゲート、マイマップ機能などがある。
ピンク
GoogleMapは予定を立てる時にも、現地での道案内でも必須ですね!
私も各エリアごとに行きたい神社・お寺マップを作成しています。

【茂木誠先生流】神社巡りの楽しみ方

  1. 古事記を読む
  2. 気になった神様を調べる
  3. GoogleMapを活用する

神社とレイラインの関係を調べる

ピンク
参拝する神社を決める際の「こだわりポイント」があれば教えてください。
茂木先生
神社巡りにハマったきっかけの一つでもあるのですが、「レイライン」です。
イギリスの遺跡群が一直線に並んでいる現象をレイラインと言い、それらの遺跡が天文台のような役割をしていたと言われています。

そして、レイラインは日本の神社にもあります。
太陽、神社、縄文・弥生遺跡の位置関係を調べるととても面白いですよ。
今は日本全国を旅するのが楽しくてしょうがないです(笑)

ピンク
日本とユダヤの古代史&世界史』(当サイトも写真提供)でも、鹿島神宮を起点にしたレイラインが取り上げられていましたね。
鹿島神宮の一の鳥居・明石浜から望む日の出
鹿島神宮の一の鳥居・明石浜から望む日の出
茂木先生
そういった神社が日本全国にあるんですよ。
僕が住んでいる埼玉にもレイラインがあって、武蔵一宮氷川神社、氷川女體神社、中山神社(中氷川神社/氷川簸王子社)が一直線に並んでいます。
今度、冬至の朝に見に行こうかと思っています。

※埼玉の有名なレイライン
氷川神社の総本社・武蔵一宮氷川神社、氷川女體神社、中山神社(氷川簸王子社)の三社は「氷川三社」とも呼ばれ、それぞれ親子関係にある神様がまつられています。
夏至には武蔵一宮氷川神社方向に太陽が沈み、冬至には氷川女體神社方向から太陽が昇ります。
社名 主祭神 別名 
武蔵一宮氷川神社 須佐之男命(夫) 男体社
氷川女体神社 稲田姫命(妻) 女体社
氷川簸王子神社
(中山神社/中氷川神社)
大己貴命(子/子孫) 簸王子社
ピンク
レイラインは、どうやって調べれば良いのでしょう?
茂木先生
日の出・日の入りの時間・方角を確認できるアプリがあります。
太陽が昇る方向がわかるので、Googleマップと照らし合わせればレイラインがわかりますよ。
ピンク
「神社参拝は早朝が一番」と言われますし、日の出の方向、レイラインを意識した早朝参拝も楽しそうです。

【茂木誠先生流】神社巡りの楽しみ方

  1. 古事記を読む
  2. 気になった神様を調べる
  3. GoogleMapを活用する
  4. レイラインを調べる

「本宮」まで行ってみる


ピンク
実際に神社に参拝された際に、現地で意識されていることはありますか?
茂木先生
大きな神社には境内の奥や少し離れた山の中などに「本宮(元宮)」と呼ばれる小さな神社がありますよね。
そういった場所には、古い時代の神様がまつられているので参拝の際は必ず奥まで行くようにしています。

例えば出雲大社の御祭神は大国主命ですが、奥にある小さなお社には素戔嗚尊すさのおのみことがまつられています。
「元は素戔嗚尊の信仰の方が中心だったのかな?」とわかります。

ピンク
“神社本来の姿”を探検しにいくような感じですね。
その土地の深い歴史についても知ることが出来そうです。
茂木先生
本当にね、知らないのはもったいないですよ。
神社にはいろいろな言い伝えが残っているのに、地元の方でも「よく知らない」という方も多いんですよね。
ピンク
ちなみに私も「本宮」「奥宮」が好きなんです…。
磐座があったりすると、つい見に行ってしまいます。
気づいたら山を登っていて半日経っていたとか・・笑
茂木先生
古代人は巨大な岩、滝、巨木などを神様として見ていましたからね。
僕はそういった古い時代の御神体に興味があるんですよ。
だから、”建物が立派な神社”にはあまり興味がないんですよね(笑)
ピンク
神社に参拝する際のポイント・着眼点など、非常に参考になるお話をありがとうございます!

【茂木誠先生流】神社巡りの楽しみ方

  1. 古事記を読む
  2. 気になった神様を調べる
  3. GoogleMapを活用する
  4. レイラインを調べる
  5. 神社の奥まで散策する

茂木先生からのメッセージ

茂木誠氏(撮影:和の国チャンネル高谷賢治)
茂木誠氏(撮影:和の国チャンネル高谷賢治)
ピンク
最後にこの記事を読んでいる方へ一言メッセージを頂けますか?
茂木先生
皆さんも、ぜひ近くの神社に行ってみてください。
そして神様について調べてみて「他に祀られている神社は?」「お父さん、奥さんがいるとしたら、どこに祀られているのか?」など調べてみると面白いと思いますよ。
ピンク
茂木誠先生、貴重なお時間をありがとうございました!

茂木誠先生の関連情報

『日本とユダヤの古代史&世界史』田中英道×茂木誠/ワニブックス
『日本とユダヤの古代史&世界史』田中英道×茂木誠/ワニブックス

今回は「茂木誠先生流・神社巡りの楽しみ方」についてお聞きしました。
日本・神社の歴史や神道の成り立ちについて、より詳しく知りたい方は茂木先生が書かれた書籍がおすすめです。


■「日本人とは何か」がわかる 日本思想史マトリックス

「日本人とは何か」がわかる 日本思想史マトリックス
日本人とは何か?について詳しく書かれた『日本思想史マトリックス』。
「日本神話」「神仏習合」「神道の成立ち」についても触れられているので、「神社検定」合格に向けて勉強したい方にもおすすめしたい一冊です。


■ジオ・ヒストリア 世界史上の偶然は、地球規模の必然だった!

インタビュー内でもお答え頂いた「太陽と遺跡の関係」、「レイライン」に関して詳しく知りたい方は『ジオヒストリア』(笠間書院)がおすすめです。
5刷突破の大ロングセラー!


■世界史とつなげて学べ 超日本史

「日本の成り立ち」「古事記」について書かれた本『世界史とつなげて学べ 超日本史』(KADOKAWA)。
世界史講師だからこその視点が参考になります。


■日本とユダヤの古代史&世界史

東北大学名誉教授の田中英道先生との共著。
日本とユダヤの関連性を謎解きしていく『日本とユダヤの古代史&世界史 〜縄文・神話から続く日本建国の真実』。
神社にまつられる神様についての驚愕の事実も満載です。普段御朱印巡りをされている方であれば、興味深く読めるはず!

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まとめ

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