もくじ
身延山定林坊 副住職望月さんへのインタビュー
日蓮宗の総本山である身延山久遠寺近くにある、身延山定林坊。月替りの御朱印が大人気な日蓮宗のお寺です。
今回はそんな身延山定林坊の副住職である副住職の望月さん(もっちーさん)に参拝者が普段知ることのない御朱印の裏話や御朱印へのこだわり、地元・身延山のことについてお話を伺いました。
インスタライブ・You Tubeなどで仏教や御朱印に対する思いを発信、現在は地元・身延山を盛り上げる為の活動もしている望月副住職。
身延山定林坊 副住職 望月亮徳
1993年生。八王子本立寺に勤務。よみうりカルチャー仏教担当講師を務める。その後日蓮宗の本部に勤務し現在に至る。InstagramやYouTubeを中心にSNSを活用した布教に取り組む定林坊の広報担当。英検準1級取得者。
1993年生。八王子本立寺に勤務。よみうりカルチャー仏教担当講師を務める。その後日蓮宗の本部に勤務し現在に至る。InstagramやYouTubeを中心にSNSを活用した布教に取り組む定林坊の広報担当。英検準1級取得者。
御朱印は古き良き日本を目指す「接点」の一つ
まず、副住職にとって「御朱印とは何か」についてお聞きしたいです!
私にとって御朱印はお寺と皆様をつなぐ1つの接点のようなものだと思います。現代ではお坊さんやお寺と関わる接点が本当に少ないですよね?
御朱印めぐりを始めていなかったら、お坊さんやお寺との接点はほとんどないですね・・
お葬式やご法事など格式張った雰囲気の中でしかお寺の人とお話する機会がない方も多いのではないでしょうか。
でもお葬式や法事などではお話させて頂くトピックスも限られますし、当たり障りのないお話しかできません。
でもお葬式や法事などではお話させて頂くトピックスも限られますし、当たり障りのないお話しかできません。
ざっくばらんに会話する雰囲気ではないですよね・・
そうなんです。でも、御朱印のときは違います。ざっくばらんなお話ができますし、皆さんの本心も聞けます。これこそ血の通った関わり合いだと思います。
昔は参拝者とお寺との血の通った関わり合いはたくさんあったのでしょうか?
江戸時代はもっとお寺や神社が身近でしたし、歌舞伎や落語などエンタメとしても様々な場面で仏教やお寺、神社が登場しますよね。
文化的な側面でも大きな影響があったのですね。
そんな古き良き日本を目指して、まずは接点を増やしていきたいという気持ちで、御朱印に関する取り組みも行っております。
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参拝者とお寺との接点を増やすために様々な活動をする望月さん
「温もり」を提供できるのがお寺や神社
望月さんが御朱印を書くときに意識されていることがあれば教えてください
御朱印をもらった方が笑顔になればいいなという気持ちで書いております。
これまで御朱印を通して様々な方と出会い、人生における貴重な時間を共有できました。ですから「御朱印の先には必ず人がいるんだ!」ということを意識しています。
これまで御朱印を通して様々な方と出会い、人生における貴重な時間を共有できました。ですから「御朱印の先には必ず人がいるんだ!」ということを意識しています。
参拝者としても素敵な御朱印を頂けると思わず笑顔になっちゃいます!後から見返す時も思い出が蘇りますし、人生の宝物になります。
今後もっと色々なものが便利になっていくと思いますが、その中で人間にしか醸し出せない「温もり」があると信じています。その「温もり」を提供できるのがお寺や神社なのではないかなという考えがあります。
「温もり」を意識されているからこそ、直書きの御朱印にもこだわりをお持ちなんですね。
そうですね。可能な限りにはなりますが、御朱印も一人ひとりに直接お書き入れしたいと思っています。
神社とお寺で御朱印帳はわける?
御朱印対応についてお聞きします。
神社とお寺の御朱印が混同されている場合、書き入れをお断りされる寺社もあります。定林坊様ではどのようなお考えをお持ちですか?
神社とお寺の御朱印が混同されている場合、書き入れをお断りされる寺社もあります。定林坊様ではどのようなお考えをお持ちですか?
定林坊では関係なく書いています。元々は神仏習合で神さまも仏様も一緒でしたし、明確にわかれたのは明治以降の話です。
神社とお寺をわけたのはあくまでも人間の考えであって、個人的には分けなくて良いのではと思っています。
神社とお寺をわけたのはあくまでも人間の考えであって、個人的には分けなくて良いのではと思っています。
日蓮宗では御首題帳には「南無妙法蓮華経」と書かれた”御首題”、他宗派や神社が混じっている御朱印帳には「妙法」と書かれた”御朱印”と分けられているお寺も多いです。定林坊さんではいかがでしょうか?
定林坊では明確に分けてはいません。神社や他宗派のお寺の御朱印が混じっている場合も、御首題を書いています。
では「御首題帳」を忘れてしまった場合でも安心ですね。
あわせて読みたい日蓮宗で頂ける「御首題(御題目)」とは?
御朱印対応での苦労や大変なこと
御朱印授与の際に困ってしまう事があれば教えてください。
あまり無いのですが、稀に見本と全く同じ御朱印を期待される方がいらっしゃいます。「見本と比べてハンコの色が薄い」とかですね・・。人間がやることなので多少のムラが出てしまうのはご理解頂きたいです。
似たような話はよくお聞きします。参拝者としてもハンコの掠れやミスがあっても「直書きの御朱印だからこそ」と受け取れる心の余裕が必要かもしれませんね。
休みはほぼ無し。地方寺院だと兼業が当たり前。
望月さんは御朱印対応をお一人でされていると聞いています。苦労されることはありますか?
やはり企画、デザイン、広報、SNS応対、接客、発送作業をすべて一人でやっておりますので、そこは苦労している部分ではあります。
「温もり」を大事にされているからこそ、大変な事も多そうですね。参拝者としては「お参りしたら必ず御朱印は頂けるもの」と思いがちですが、お寺としては法事や法務などが優先だと思いますし、お一人で全てを対応されている寺社も多いのではないでしょうか。
そうですね。ですからイレギュラーなことがあったりしますと、なかなか対応できない部分もあります。対応日が限られるという部分はご容赦願いたく思います。
対応日が限られる理由として、地方寺院だと兼業するのが当たり前だと聞きました。
例外もありますが地方のお寺だと兼業されているお坊さんも多いと思います。兼業だと仕事の合間に御朱印の書き入れをすることになるので、自由に動ける休みはほぼ無いんです。
休み無し・・(汗)。もし自分だったらいっそのこと「御朱印は受け付けない」ようにしたいです・・。SNSで「対応日が少ない」とか「書置きは嫌だ」的なコメントを見かけるのですが、寺社のそういった裏事情も知って欲しいですね。
時間が少ない中でなんとか対応している所も多いと思います。ご理解頂けると有り難いですね。
ちなみにお寺の場合、兼業先としてどのようなお仕事をされる方が多いのでしょうか?
学校の先生、公務員などが多いですね。兼業しているのも、お寺を守りたいという一心だと思います。
それだけ今の時代にお寺を持続させていくのは厳しいのですね。あと10年もすると「かなりのお寺が無くなっているのでは?」という話も聞きます。
地方は非常に厳しい現状です。よく言われる「坊主丸儲け」という時代はとっくの昔に終わっていると思います。メディアで伝えられるお寺のイメージと、僕たちが知っているお寺の現状にはあまりにもギャップがありますね。
今日までお寺や神社を守ってきてくれた方へ感謝の気持ちを持ちつつ参拝したいと思います!!
御朱印の転売問題について
最近、御朱印の転売も問題になっています。望月さんはどのように捉えていらっしゃいますか?
一人一人に思いを込めて書いていますので、書いている側からすると転売は悲しいです。
「御朱印=お参りの証」を売り買いする事自体に違和感がありますが・・
御朱印はお参りの証であり、神仏との絆・ご縁でもあります。それを売ったり・買ったりすることは授与した住職さん、神主さんに対しても失礼ですし、神社仏閣の神仏に対して失礼なのではないでしょうか。
「御朱印=アート作品・コレクションアイテム」といった感覚なのかもしれません。私達のような御朱印紹介メディアにも責任はあると思います・・。
望月さんとしてはどのような対策をお考えですか?
望月さんとしてはどのような対策をお考えですか?
転売できないルールを作ってもいたちごっこになるだけで、難しいと思います。一番の対処法は御朱印が転売されていても「買わない」ということではないでしょうか。
もちろん転売する側だけが悪いのではなく、寺社側にも責任はあると思っています。
もちろん転売する側だけが悪いのではなく、寺社側にも責任はあると思っています。
素敵な御朱印を「欲しい!」と感じる気持ちは凄くわかりますが・・。私達としては実際に参拝して頂くからこその喜びを伝えていきたいと思います。
今後の活動について
地元・身延山を盛り上げたい!
望月さんはインスタライブやYouTubeでの発信など常に新しい事にチャレンジされていますよね。今考えている企画などはありますか?
今年は日蓮聖人が身延山に庵を結ばれて750年です。身延山の良いところを知って、見て、感じてもらうようにしたいということで「身延山開創750年特別ツアー」を年四回行う予定です。
私も前回参加させて頂きましたが、最高の思い出になりました。
なぜこのような企画を考えられたのですか?
なぜこのような企画を考えられたのですか?
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あわせて読みたい身延山久遠寺ツアーの様子はこちら
参拝者へのメッセージ
最後にこれから定林坊さんへ参拝予定の方へ一言お願いします!
皆さんと楽しい時間を過ごしたいです。
この記事を読まれた方が身延山に来てくれて、「もっちー!」と声をかけてくれることを楽しみにしてます(笑)
この記事を読まれた方が身延山に来てくれて、「もっちー!」と声をかけてくれることを楽しみにしてます(笑)
もっちーさん!インタビューのご協力ありがとうございました!
定林坊の副住職もっちーさんは、インスタライブも大人気!御朱印や仏教についての解説、寺社とのコラボ企画なども行われているのでぜひ覗いてみてください。
副住職もっち-(安産と縁結びのお寺)Instagram
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まとめ
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