富岡八幡宮 丸山宮司様インタビュー

富岡八幡宮 丸山宮司インタビュー

富岡八幡宮(東京都江東区)
富岡八幡宮(東京都江東区)

東京都江東区富岡にある”江戸最大の八幡さま”、富岡八幡宮とみおかはちまんぐう。江戸三大祭りに数えられる「深川八幡祭り(水掛け祭)」が有名です。

今回は富岡八幡宮の宮司・丸山聡一さんに、富岡八幡宮の見どころや御朱印のこだわりについてお話を伺いました。

富岡八幡宮 宮司・丸山聡一さん
富岡八幡宮 宮司・丸山聡一さん
富岡八幡宮・宮司 丸山聡一
岡山県出身。國學院大學卒業後に富岡八幡宮に奉職。宮司を務める。

富岡八幡宮について

宮司さんのプロフィール

ピンク
丸山宮司のプロフィールと、神職を目指すことになったきっかけを教えて頂けますか?
丸山さん
私は小さな頃からいわゆる「おばあちゃん子」でした。
祖母は信仰深い人で、神社やお寺を大事にしていました。それを側で見ていたので何となく神社に親しみを感じていたのだと思いますね。
ピンク
神職になられてから、最初にご奉仕された神社はどちらになるのですか?
丸山さん
岡山出身なのですが、東京の國學院大學を卒業してからずっと富岡八幡宮なんです。
ご縁があって、学生時代からこちらにお世話になっていたんですよ。

富岡八幡宮の見どころについて

富岡八幡宮(東京都江東区)
富岡八幡宮(東京都江東区)
ピンク
富岡八幡宮の境内はとても広いですよね。境内の見どころを教えて頂けますか?
丸山さん
「御本殿」、「日本一の宮神輿」、「歴代横綱の名を記した横綱力士碑」です。
御本殿は重層造りの二階建てです。終戦の詔勅にちなみ、世界平和を願う「万世泰平」の文字(※)が刻まれた額を掲げております。
※昭和天皇が読み上げられた終戦の詔書(玉音放送)の「堪え難きを堪え、忍び難きを忍び、もって万世のために太平を開かんと欲す。」より。
世界平和を願う「万世泰平」の文字
富岡八幡宮の御本殿
ピンク
昭和天皇は東京大空襲後に被災状況の確認で富岡八幡宮にも視察をされ、その際に終戦の決意をされたとも言われていますね。境内にある「昭和天皇救国の御決断」の石碑も見逃せません。
平和であることに感謝して参拝したいと思います。

氏子さん達の協力で悲しい事件を乗り越える

富岡八幡宮の鳥居と参道
富岡八幡宮の鳥居と参道
ピンク
富岡八幡宮では数年前に悲しい事件もありましたね。当時はいろいろと本当に大変だったと思います・・。
丸山さん
何よりも氏子さんたちの「何とか八幡さまを守らなきゃ!」という気持ちが強くて、本当に助けられました。
「大事を乗り越えてきたな・・」という気がしますが、氏子さんたちの支えがあったからこそ、事件の暗いイメージを払拭できるようやってこれたのだと思います。
ピンク
イメージ払拭のために様々な活動をされたと思います。いくつか具体的に教えて頂けますか?
丸山さん
事件の翌々年が御代替わりだったのもあり、神社の幕や御簾を取り替えたり、新しい衣装を揃えて巫女さんの「浦安の舞」を氏子さんの前でご披露したりしました。
また、皇居前広場で行われた「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」に名乗りを挙げ、当社の二の宮神輿を担いだりもしました。
天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典
皇居前で開催された祭典。約7万人の参加者が集まる。奉祝神輿渡御として富岡八幡宮はじめ日枝神社神田神社赤坂氷川神社浅草神社大國魂神社など東京を代表する神社のお神輿・山車が繰り出された。
富岡八幡宮の二の宮神輿
富岡八幡宮の二の宮神輿
丸山さん
今まではこういった祭典に神輿を出した事はなかったんですね。神輿を出すことで皆さんが安心感を感じられるようになったのと思います。一部では「呪いの神輿」とも言われていたので・・・(苦笑)
ピンク
御代替わりというタイミングもイメージ払拭の”追い風”になったのですね。
丸山さん
元号が変わるということで、皆さんの中でも伝統を守ることだったり、神社や神様への関心が非常に高まっていました。御朱印ブームも凄かったですよね。
ピンク
令和元年から御朱印めぐりを始められ方も多いと思います!各地での行列がニュースにもなっていましたね。
そして、御代替わりの翌年にはお祭りが行われましたね。
丸山さん
事件があったから「やらない」ではなく、「お祭りは盛大にやろう!」と思っていました。ちょうど二宮神輿を担ぐ年でしたね。
江戸三大祭り・深川八幡祭り
江戸三大祭り・深川八幡祭り
深川八幡祭り
江戸三大祭りにも数えられる深川八幡祭り。日本最大と言われる一の宮神輿、一回り小さな二の宮神輿があり、二の宮神輿は本祭りの翌年に担がれることになっている。
ピンク
「八幡様を守りたい」「今だからこそお祭りをする」という氏子さんの思いも追い風になったのですね。
丸山さん
本当にそうです。例えば「富岡八幡宮友の会」も「八幡さまを盛り上げたい」という気持ちから設立されたものです。
本当に心強かったですね。私たちも「頑張らなきゃいけないな」という気持ちにさせていただきました。
富岡八幡宮友の会
外交評論家・作家の加瀬英明氏、小林祥晃(Dr.コパ)氏などの呼びかけにより生まれた会。
富岡八幡宮友の会公式サイト

新しく始まった「深川十五夜まつり」

ピンク
2022年には新たに「深川十五夜まつり」も開催されました。始められたきっかけなどあれば教えてください。
丸山さん
富岡八幡宮の例祭はもともと旧暦8月15日に行われており、ちょうど中秋の名月の日のお祭りだったんですね。しかし太陽暦導入後、日付は変えず新暦の8月15日に行うようになり、秋祭りから夏祭りへと変化しました。
ピンク
8月15日は暦上では晩夏ですが、最近はまだまだ夏真っ盛りの気温ですよね。
丸山さん
奉納舞台に参加される皆さん汗びっしょりで「申し訳ないな・・」と思っていたんです。
元々の「旧暦8月15日にも何かやりたい」と思っていた時に、町や観光協会の方から「お月見のイベントやりたい」と言うお話がありまして、これは渡りに船だと思いました。
ピンク
涼しい夜にお月見しながら楽しめる素敵なイベントですね。
丸山さん
「深川十五夜まつり」では、神社としては「中秋祭」を斎行し、江戸時代に行われていた放生会を弁天池にて行います。
境内ではステージを作って奉納行事が行われていますので、ぜひご参加ください。

深川十五夜まつり公式サイト深川十五夜まつり公式サイト

富岡八幡宮の授与品について

通常の御朱印の他、季節限定の御朱印も

富岡八幡宮の季節限定御朱印
富岡八幡宮の季節限定御朱印
ピンク
富岡八幡宮では祭事・イベント限定の御朱印も出されています。どんなきっかけがあったのでしょうか?
丸山さん
コロナ期間中は書置き御朱印をお渡ししていましたので、「少しでも皆さんの印象に残る御朱印にしたい」と思ったのがきっかけです。
ピンク
御朱印を頂く際に、素敵なクリアファイルと一緒に頂けるのが嬉しいです!
丸山さん
以前は御朱印帳に絵葉書と由緒書を挟んでいたのですが、それらと御朱印をまとめてクリアファイルに入れるようにしました。
クリアファイルは神社にある錦絵を順番に印刷しています。現在の図柄で第3弾なのですが、無くなったらまた新しい図柄で製作しようと思っています。
御朱印と一緒に頂けるクリアファイル
御朱印と一緒に頂けるクリアファイル
ピンク
錦絵に描かれた江戸時代の富岡八幡宮が興味深いです。当時の様子に思いを馳せながら境内や門前仲町を散歩すると楽しそうですね。
違う柄のクリアファイルも欲しくなってしまいます。
丸山さん
お参りに来ていただくのが何よりも大事ですから。参拝する動機の一つの材料になれば嬉しいです。
御朱印も以前は”年配の方が頂くもの”という感じでしたが、ゴシュインジャーさんのような発信もあり、若い方も増えてきましたね。これは何より素晴らしいことだなと思いますね。
ピンク
期間限定の御朱印デザインでこだわっている所があれば教えて下さい。
丸山さん
書置きの限定御朱印については「富岡八幡宮らしさ」と「深川のイメージ」を大切にしております。

御朱印対応で困ってしまうこと

ピンク
御朱印が人気になる一方で、御朱印マナーの悪化も問題になっています。富岡八幡宮様では困ってしまう事などありましたか?
丸山さん
確かにいかにも「記念スタンプをもらう」といった雰囲気の人はいらっしゃいますね。
ただ、そういう方も神社やお寺に触れることで気持ちが変わっていくんじゃないかな~とは思います。
ピンク
御朱印はスタンプラリーではなく「参拝の証」と肝に銘じながら、色んな寺社に参拝して頂ければ素敵ですよね。
ところで、富岡八幡宮様では最近SNSで御朱印情報や祭事情報などが頻繁に更新されていますよね。非常に助かっています。
丸山さん
ホームページはあまり更新出来ていないのですが・・・(苦笑)。SNSの方は割と決め細やかに発信出来ているかと思います。

御朱印帳について

ピンク
富岡八幡宮では3種類の御朱印帳を授与されていますね。特に「ヒノキ製のオリジナル御朱印帳」は珍しいと思いますが、なぜヒノキ製にされたのでしょうか?
丸山さん
富岡八幡宮は、材木の町である「深川木場」を氏子地域に抱えておりますので「木の文化を大切にしたい」という気持ちがありました。”東京奥多摩産”のヒノキで制作しています。

富岡八幡宮で人気のお守りについて

ピンク
富岡八幡宮で人気の授与品を教えて下さい。
丸山さん
八幡様は武勇の神様ということで「勝守」、そして「釣行安全大漁守」も人気ですね。
この辺りはもともと”深川浜”という漁師町だったんですね。「釣行安全大漁守」は深川浜に因んだお守りでして、お守りの中には釣り針が入っています。遠方の方にも人気でして、郵送受付もしております。
お守りの郵送受付
お守りの郵送受付は富岡八幡宮公式サイト「授与品案内」より。
お守り
左:勝守(800円)、中央・右:釣行安全大漁守(800円)
丸山さん
“富岡八幡宮独自の授与品”としては、江戸時代から授与されている「白羽の矢」も人気です(お正月期間のみ)。通常は「破魔矢」と呼ばれるものですね。
大晦日の11時45分ごろから授与式があり、元旦と同時に白羽の夜を授け始めます。
吉事きちじ当り矢、凶事きょうじ祓い矢”と言い「良い運を掴み、悪い運は遠ざける」という意味があります。
「白羽の矢」を手にする丸山宮司
「白羽の矢」を手にする丸山宮司
白羽の矢とは?
1627年・長盛(ちょうせい)というお坊さんの夢に八幡様が現れ「自分を祀るべきところには白羽の矢が立っている」というお告げを授けます。
長盛は白羽の矢が立っている場所を見つけ、富岡八幡宮を創建したという故事にちなんだ授与品。

参拝者へのメッセージ

ピンク
最後にこれから富岡八幡宮さんに参拝しようとしている方に向けてメッセージをお願いできますか。
富岡八幡宮・丸山宮司
富岡八幡宮・丸山宮司
丸山さん
富岡八幡宮は、下町の中でも独特の気風がある門前仲町にあるお宮です。四年後(令和9年)には「ご鎮座400年」を迎えます。記念すべき年に向けて、ぜひお参りしてみていただきたいと思います。
ピンク
丸山さん、インタビューへのご協力ありがとうございました!

まとめ

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ハトピー
ども、鳩胸気味のハトピーです。お寺の家系に生まれ、神社仏閣が大好きです。「御朱印」を通して神社仏閣を身近に感じる人を増やしたいです。twitter・インスタやってますのでフォローしてやってください。